今年4月に施行された「改正」保険業法によって、広範な団体の自主共済制度が、存続の危機に追い込まれています。 この問題で「互助会の活動を続けていくため」と署名運動など広げている全国知的障害者互助会連絡協議会の福田和臣会長のお話です。 ■知的障害者は生命保険に入れない −自主共済や互助会活動を規制する保険業法が施行されましたが。 福田 私たちの互助会は、会員が入院をした際、付き添いが必要だという状態になれば1日について8000円。特別ベッド、差額ベッドを利用した場合は5000円を限度として給付するという制度です。なぜこういう組織が必要かというと、知的障害者は生命保険に入ることができないからです。 生命保険に入れない理由が2つありまして、1つは知的障害そのものを疾病だととらえていること。もう1点は知的障害の人たちは本人確認ができないという理由で、生命保険の対象にはならないのです。
私たちの互助会は、それらをカバーするために全国の都道府県の施設関係者、あるいは親の会が立ち上がってつくった組織です。 ■1億円のランニングコストが −保険業法が適用になったら、どうなりますか。 福田 適用除外にならず、少額短期保険業者になった場合、保険会社と同じ体制をとらなければなりません。現在、月1000円、年間1万2000円前後の掛け金で運営していますが、これでは少額短期の事業をおこなっていくためのランニングコストが出ないのです。 われわれの仲間が試算したところによると、ランニングコストはざっと1億円は必要だろうと。うち(兵庫県の組織)の会員は4700人ですから、せいぜいそのぐらいの掛け金しか入らないのです。1億円近くのランニングコストに耐えられるわけがないのです。 今の掛け金で今の給付というのは、とてもじゃないけれどもできなくなる。自立支援法で本人負担が増えているという状況のなかで、年間1万2000円の掛け金でさえも厳しくなっているのに、それ以上の負担を迫ることは無理だと思います。 ■株式会社化は互助と矛盾 −利益を上げれば当然、課税の対象になりますね。 福田 安定経営するためには相当利益を上げないと、難しいでしょう。みんなで助け合おうという共助、互助の精神からはるかに遠くなります。株式会社化を迫る理由が、加入者の安全であったり福利であったりということであれば、まったく矛盾をしていると言わざるを得ません。 −「改正」理由は契約者保護ということでしたが。 福田 契約者保護は、オレンジ共済など一部の不正があって出てきたと思うのですが、今度の保険業法「改正」は非常に矛盾だらけです。 契約者の保護というのは少額短期の保険業者にならなくても何らかの規制をかければ十分成り立つのです。にもかかわらず、いわゆる保険屋さんになりなさいと。保険屋さんになったら金融庁の目が届くからということなのです。 郵政民営化ではないけれども、外国の圧力あるいは保険会社の圧力というか、思惑通りにすすんでいるかなと思います。小さい互助会、共済制度を全部保険会社の方に吸収すると掛け金をドンと高くせざるを得ません。その際、同じような保険がありますよ、利用して下さいという思惑はずいぶん強いなと思うのです。 ■規制されるいわれはない。 −特定保険業者の届け出はどうしますか? 福田 一応、届け出はしています。その時点で、新たに必要な書類が若干いるのですが、それを整えておけばこの4月から向こう2年間の事業活動はできるのです。2年間の間に少額短期の保険屋さんになるのか、解散をするのかどうかという選択をします。 −互助会を維持しようと署名活動や陳情も活発のようですが。 福田 私たち互助会としては現在の形を維持したいのです。今の費用で今の給付は続けられるこの互助会のシステムを経済的な意味でも存続、継続していきたい。「適用除外」を求める署名は全国で34万人分を集めました。これは加入者の約4倍に当たります。すごいエネルギーをかけてやったのにもかかわらず金融庁に、まったく無視されました。一方で宗教法人は除外になっています。 私たちの互助会は、国が規制をかけている理由を全部クリアしているのです。少額だし短期だし掛け金をかける人、契約者を特定していますから。規制されるいわれはないので今後も同じ考えをもっている団体などと一緒に頑張っていきたい。 |